かくれんぼ、しよ?
「……でも、とりあえず、どうしようか」
懐中電灯で照らしながら辺りを見回すと、まず目につくのは木々を繋ぐように張り巡らされた、注連縄。
二人とも、それを越えて行くのはなんとなく気が引けた。
「ユウイチくーん!どこにいるのー?」
ミクが叫んでみるが、虚しくこだまするだけで、返事は返ってこない。
しかし、返事の代わりに――わん、と鳴き声が聞こえた。
「コロちゃん!」
草葉や枝を体中につけながら、コロがミクの元へ飛びこんできた。
コロの様子は、いなくなる前とは打って変わって、いつも通りしっぽを振ってミクに甘えている。
「よかった……」
そんな様子を見て、マコトも小さく笑みをこぼした。
ミクはリードをしっかり握り、コロを地面に下ろす。
「コロちゃん、ユウイチくんどこだろ?」
するとコロは、注連縄の先へ行こうと、ぐいぐいとリードを引っ張る。
それを見て、ミクとマコトは、顔を見合わせた。
「……行くのか?」
マコトの問いに、少しだけ間を置いて、ミクは頷いた。
マコトは、どうせ止めたところで無駄だと思い、その返答を受け入れた。
コロに引かれるまま、ミクは、注連縄の先へと踏み込んでいく。
マコトもそれに続こうと踏み出し、注連縄を越えようとした――瞬間。
ふっ、と、突然現れたソレに、目を疑った。