かくれんぼ、しよ?




黙ったまま私の顔をじっと見つめるその人は、固い表情で、何を考えているのかわからない。


先程からの淡々とした口調といい、なんだか少し――こわい。


「……まあ、何も見ていないと言えば嘘だろうな」


やはり発される言葉は一本調子だ。


しかしその人は意外にも、そう言った後、にやりと口角を上げた。



「もう少し、色気のある下着をつけたらどうだ?」


「え……あっ!」



自分が今身に着けている下着を思い出した。……白とピンクの、ウサギ柄。


思わず、布団から出ている上半身の胸のあたりをがばっと覆った。


……服を着ているから、見えてるわけじゃないけど。


顔が熱くなるのを感じながら、恥ずかしさに俯きつつ、その人を見る。


いつの間にか背を向けて、この部屋から出ていってしまっていた。




「はあ……」


下着を見られてしまうとは、不覚。男の人に見られるなんて……今までそんなことなかったのに。



……それにしてもこれは、どういう状況なんだろう。


なんでわたしは知らないベッドで寝てたのかな?


そもそも、いつ寝たんだっけ?


必死に記憶を引きずり出そうとして――


「あ……」





< 27 / 127 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop