かくれんぼ、しよ?
……鐘っていうのは、夕暮れを知らせる地区放送のメロディのことだろうか。それくらいしか、思い当たらない。
しかし、その放送が流れるのは、一日に一度だけ。
そもそも、二度目なんて鳴らないのだ。
それに、鬼だかなんだか知らないが、とにかく何かがいるらしい夕霧山とやらは、住宅街からそんなに離れていないし、駅や交番だってそう遠くない。
そんなところに、何か変なものがいるのだろうか。
きっと、昔の人が、夜遅くに外を出歩いていると危ないとか、軽々しく山に行くと危険だとか、そういう理由で子どもを守るために作った、ウワサなんだろう。よくある話だ。
……それにしても、あいつら、遅いな、と。
帰り道を一緒に歩く幼なじみの二人を待つために校門の前で一人で突っ立って、早二十分。
いつもだったら、とっくに三人揃って帰っている頃だ。
そろそろ、待つのも疲れたし、置いて帰ろうかな……
そう思った矢先、例のメロディが鳴り始めた。
普段、あまりこの時間にこの近くにいることがないのでわからなかったが、どうやらこの近くにスピーカーがあるらしく、やけにうるさい。
何でもいいから耳を塞ごうかと音楽プレーヤーをリュックから取り出しかけた時。
「がおー!」