かくれんぼ、しよ?
木造の床は、踏み出すたびにぎしぎしと音を立てる。
……ゾンビが入ってきたら、どうしよう。
そんなことを考えてしまい、息を飲む。
大丈夫、大丈夫……カンノさんがここで待ってろって言ったんだから、きっと安全なはず。
どうにか自分をなだめて、鼓動を落ち着けようとしていた時――
「きゃあああああああああ!」
女の子の、悲鳴が聞こえた。
それに驚いて、燭台を落としそうになるが、間一髪のところで、持ち直した。
……なんか、ものすごく、近くで聞こえたような気がする。
廊下の先は、曲がり角。
ドクドクと音を立てて、鼓動が早くなるのを感じながら、一歩、また一歩と、ゆっくり曲がり角に近付く。
曲がり角の直前で立ち止まる。
ゴクリと唾を飲み、覚悟を決めて、曲がり角の先へと踏み出した。
「だ、誰?」
そこにあった、ひとつの人影――
それは、見覚えのあるものだった。
「み、ミユキちゃん!」
そこには玄関の戸の内側で、嬉しそうにしっぽを振るコロちゃんと、その前で腰を抜かしているミユキちゃんの姿があった。