かくれんぼ、しよ?
「み、ミク……早いって……」
突然のことにミクが少し驚いた様子で振り向くと、そこには、息を切らして大きく肩を上下させる、もう一人の幼なじみ。マコトの姿があった。
「あー、ごめんごめん!」
少しも悪びれる様子なく、ミクが手刀を切るような動作で謝った。
多分、おれを見つけたミクが突然走り出しでもしたんだろう。
それでミクが運動が得意なのに対し、マコトは運動が苦手だから、涼しい顔で走り去るミクを必死で追いかけたんだな。その光景が安易に浮かぶ。
それにしても、マコトの足音に全然気付かなかった。相変わらず静かなやつだ。
「て、いうか、なんで顔赤いの?」
マコトがミクの頬を指差しながら、おれとミクを交互に見た。
「えー?えへへ、ユウイチくんがかわいいって言うからさー!」
「アホか!そういう意味じゃないっつーの」
ミクを軽く小突いた。
おれたちを見て、マコトは呆れたような苦笑を浮かべる。
「ああ、なるほどね……」
そんな風に、他愛ない話をしながら、家に向かって歩きだした。
「あのねー、マコトくんも委員会の仕事手伝ってくれたんだよ!」
「マジか?おれも呼べばよかったじゃん」
「おれが手伝えばすぐ終わると思ったんだけどさ……遅くなってごめん!」
いつもと同じ、三人で歩く帰り道――たまに、ふと、思うことがある。
高校生にもなれば、進路とか将来のことを考えるけど――やっぱりおれは、ずっと三人で仲良くしていられたらな、と。
こんな照れくさいこと、口が裂けても二人には言えないけど、おれは昔からずっと、そう思っている。