かくれんぼ、しよ?
はじめは、何故だか分からない風におれとミクのことを見ていたマコトだったが、気付いたのだろう。小さい声で、相槌を打った。
明日は、行けない。
明後日は、妹の一周忌だから。
「……とにかく、行くなら今日だな!気合入れてくぞ!」
なんだか、空気がしんみりしてしまったから、変にテンションを上げて、二人の背中を叩いてみた。
二人はそれで、作っているのか本心かはわからないけど――笑顔になる。
「それじゃ、わたしは番犬にコロちゃん連れて行くね!」
「番犬って、あの小型犬が?」
「散歩したいだけだろ、おまえは。しかしあのでぶ犬は運動させた方がいいと思うぞ」
「コロちゃんを馬鹿にしたら許さないからね!」
出たよ、犬好き……と、マコトと顔を見合わせて、笑った。
「じゃあまた、六時に」
最初に、マコトに。
次に、ミクに手を振って、残りの道を、一人で歩く。
一人になると、妹のユミのことを思い出す。
いつも、一緒に遊ぼう、と、笑顔でおれのことを引っ張っていく。
目を閉じると浮かぶそんな幻影も、夕暮れの陽に溶けていった。
――ひぐらしの声は、いつもやっぱり、悲しげだ。