かくれんぼ、しよ?
――時計は六時ちょうど、夕霧山のふもと近くの公園。
それなりに動きやすい服で、懐中電灯と携帯電話をカバンに入れて持って来たが、なんだか重装備のマコトと、制服姿のミクが待っていた。
まず目につくのは、マコトの背負っている馬鹿でかいリュック。
こいつの心配性は、そこまでだったか。
「マコト、それ、何持ってきたんだよ」
「え、何って……携帯電話、懐中電灯と、ライター、ロープ、水、非常食……」
「なるほど、もういい。準備万端だな。準備万端すぎるな」
「マコトくんすごい!えらい!かっこいい!」
無駄としか言えないマコトの荷物の内訳を聞いて、目を輝かせるミク。
この天然ボケ二人は、おれにしか扱えないような気がしないでもない。
「それよりミク、その格好……」
おれが言いたかったことを、マコトが指摘してくれた。
「え?かわいーでしょ」
「いや、おまえ、山歩くのにセーラー服のままかよ」
「あー!たしかに!コロちゃんの散歩のノリで来ちゃった!」
「あのなあ……」
言い出しっぺがそれで、どうするんだか。ミクの持つリードの先の、名前の通りコロコロした犬は、なんだか楽しそうにしっぽを振っているし、こいつらに緊張感はないのかと先が思いやられる。
「……まあ、もうミクはそれで仕方ないな。あんまり時間が遅くならないうちに、行くか?」
「おう、そうだな」
「よーし、れっつごー!」
そして、正直そこまで気乗りしていないが――肝試し兼クラスメイト探しが始まった。
三人で、夕霧山への道を歩みだす。
そろそろ日も落ちてきたし、できれば早く帰れないかな、と思った。