赤ずきん様とオオカミさん




大神は、いつも私を見ながら微笑みます。

せっかくお皿に料理を分けたのに、今だって食べずに笑っている。

「なによ、私の顔に何かついてるの?」

そう言ってみれば大神は首を横に振った。

「正確には頭の上だね!」

スッ、と腕を私の頭に向かって伸びたと思ったら、大神の大きな手には一枚の花びらがあった。

一瞬、虫が乗っているところを想像してしまったが、桜で良かった。




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