赤ずきん様とオオカミさん




すくっ、と立ち、八重桜の木の方へ向きを変えたとき、ぶわっ、と強い風が吹いた。
その衝撃で桜の花びらがふわふわ、と散った。

あぁ、綺麗だ。


なんて儚げなのだろう。

私の心配をしている君の表情は。

「柚希ちゃんっ、砂とか目に入ってない?大丈夫?」

「大丈夫だ」

そんな犬のような悲しい表情には似合わない、ピンクで綺麗な花びらが私ではなく、今度は大神の髪についていた。

さらり、と大神の髪に触れ、花びらをつまむ。
大神は、一瞬体を震わせたが私の手の中にあるそれを見て納得をしたようだ。




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