赤ずきん様とオオカミさん
「ちょっと、大神!塩を持って来なさいっ」
くるり、と顔だけ大神に向け、強く言い放った。
だが、意味がいまいち分からない大神は「え、なぜ?」と疑問を私にぶつけた。
私は当たり前のことを聞かれ、指を大神に差しながら言った。
「そんなの今日は雨なんだから、庭に出てナメクジを溶かす以外理由ないじゃないっ」
「今年もやるの?」
「当たり前よ」
これは、梅雨の時期、毎年やっている私の中の決まり事のようなもの。
ナメクジは体のほとんどが水分で出来ているため、塩をかけると水分が塩に吸い取られ、溶ける、というより水分が外に出てしまい体が小さくなり干からびて死んでしまうだけだ。