赤ずきん様とオオカミさん




それと同時に私の上にいた男二人が横に吹っ飛んだ。

「柚希ちゃんっ...!」

私の目の前には汗をかいた大神。

あぁ、走って探してくれたんだな、なんて呑気に考えながらも口はお礼は言わない。

「来るの遅い...」

なんて無様な格好なのだろう。

「ごめんね」

ファーストキスだったのになぁ。

私は舌を出した。

「そのせいで、そいつらに舌吸われた」

すると大神は、一度俯き、何かを決めたように顔を上げた。

「ごめんね、柚希ちゃん」

ちゅ、


その謝罪は、何への謝罪?

すぐ来れなかったこと?

それとも、このキスのこと?




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