赤ずきん様とオオカミさん




これ以上悲しむ大神をみたくなくて、大神に抱きついた。

「私のために悲しい顔しないでよ...」

私が後先考えず、飛び出しちゃったからこんなことになったんだ。
私のせいなのに、大神が謝らないでよ。

「ごめん、大神。お家に帰ろう?」


ごめんね。

大神は、笑っているほうがいいよ。


***


梅雨。


雨は好きだ。

雨に打たれると汚れが流れるようで。

私の代わりに泣いてくれているようで。

きっと、今降っている雨は大神の涙だ。

もう、悲しませないよ。

そう神に誓うから、

心から声をあげて笑なよ。

私が隣にいるからさ。




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