力のある者
あーあナギ飛び出しちゃったよ・・・・・・。
まったくナギは・・・・・・。
この世界に来たばっかりの僕でも素通りした方がいいと思ったぐらいだ・・・・・・。
それなのにナギは・・・・・・。
「ムウッ!何者だ貴様!」
「ナギだよ」後ろを歩いていた兵士はひぃと低い悲鳴を兜の下から発した。
「邪魔をするな」ガガゼトは言った。
「うっせー!何の証拠もなくおじさんを街から追放だって?薬草を取りに行っただけだろうが!てめえ何者だ?」
「この街を治める領主だ」と言った後にまたいやらしくゲッゲッゲッゲと笑った。
「そうかよ、されならなんでもしていいと思うなよ!」俺はできる限りガガゼトをにらんでやった。
するとガガゼトは、チッと舌打ちして兵士に何か命じた。兵士は俺が『時翼』のナギだと知っていたからか、それともガガゼトへの恐怖からかは分からなかったが、手早く命じられたことに頷きもせず、おじさんを解放した。
「今日のところは見逃してやる!」また、ゲッゲッゲと笑い去っていった。
「おじさん大丈夫ですか?」
「あ、ありがとよ。あんたみたいな子供に助けられるとは、俺、情けないな」
まあ、十五歳だから仕方ないか・・・・。
「いえいえ」
「それよりあんた、あのガガゼトにあの態度・・・・すごい勇気だな・・・」
「あれくらいたいしたことないですよ。それに、人を助けるのがセクションの役目っておじさんも知ってるでしょ」
「ああ、あんたもギルドなのか・・・・」
「頼りにしてるぜ!!」おじさんはそう言ってその場を去っていった。
 「ナギごいねー」
「へへぇ、すごいだろう」
「うん、すごい!」
「えへへへ」
俺たちは噂の的になりながら、この街のギルド支部に向かった。
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