君のためなら
「あーーーーー!むかつく!」

「ちょっと澄花落ち着いて、もう。前はため息ばっかと思ったら今はむかつく連発じゃん」

「だって!ほんとあんな奴とは思わなかった!」

あの日から何日たっただろう。もう軽く1,2ヶ月はたったかな?

それでもまだあたしは龍夜にいらついている。

あれから龍夜とは話を一回もしていない。

「もう終わったんだからいいじゃん」

「そうだけどぉ~」


「わっ!」

「きゃぁー!」

「ははは!」

「な、ちょっと秦我(しんわ)ー!」

また雛奈驚かされてるよ・・・

片山秦我。無邪気でいたずらっこ。そして雛奈の好きな人。

秦くんはいろんな人からモテモテだ。

確かにルックスはいいけど性格は・・・少し子供。

あたしと雛奈のなかのキャッチフレーズ

「悪魔の可愛い顔」

あたしはなんとも思わないけど雛奈にとってはツボらしい。

でもあたしはひそかに思ってるんだ。

きっと、秦くんも雛奈のことが好きってこと。

だって秦くんがあそこまでいたずらするの、雛奈ぐらいだもん!

くっつけばいいのに・・・そうあたしの願いはなかなか叶わないみたい。

お互い遠慮してるんだね。


「はぁはぁ・・・ごめん、澄花」

「仲いいねー!」

「どこが!?」

「告白しちゃえば?絶対OKしてもらえるって!」

「無理無理無理!!だって・・・」

そういうと雛奈は少し悲しい顔をした。

雛奈が告白しない理由。それは

雛奈の友達、石田愛美(いしだあいみ)も秦くんの事が好きだから。

しかも雛奈は愛美の応援をすることになっている。

「そんなの関係ないじゃん。告ったもの勝ちだよ!」

「でも・・・応援するっていったから・・・あ、そろそろ教室戻るね!またあとで!」

そういって走っていく雛奈の背中はさみしそうだった。

雛奈・・・あたしは雛奈を応援してるからね?

今は無理だとしても、雛奈の勇気が出るまで待つから。


< 5 / 17 >

この作品をシェア

pagetop