昨日、私の心を奪ったのは彼でした。



「――沙希は、いつからあの方とお知り合いに?」

「ん、裕也か?んー…まぁ、自然とそんな感じになってた!」

「自然と…?」


友達になるのに、自然となんて事があるの?

嬉しそうに笑顔を見せる沙希を前に、乃梨子は顔を伏せた。


沙希が羨ましいわ。

沙希はいつも、そんな風に楽しげに友達の事を口にする。

私は…沙希以外に友達だと思った事がないもの。


友達の作り方…

そんなものが、あればいいのに――


「お待たせ。」

「っ・・・!」

「裕也、おっせぇーよ!」


するといきなり出てきた暖かい料理。


「グチグチとおまえはうるせぇな。お前の分、取り上げっぞ。」

「わーっ!わりぃって!裕也、すまん!」

「・・・。」


乃梨子を置いて、2人でなんやかんや言いあっている。

裕也も、なんだかんだ言って、沙希に甘い。






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