昨日、私の心を奪ったのは彼でした。
「――、もう学校に着きますわ。」
「乃梨子ーーっ!!?」
結局、乃梨子は話題をずらし、スタスタと歩いて行く。
そんな乃梨子を追う沙希だが、乃梨子が学園の敷地内に入ってしまったおかげで、乃梨子は男共に囲まれてしまい、見えなくなってしまった。
(はぁ…。これじゃぁ、きっと何言っても教えてくんねぇな…。)
昨日から尋問しても何も答えなかった乃梨子の様子から推測するに、これ以上の詮索は乃梨子を怒らせるだけだろうと察した沙希は、諦めることにしたのだった。
「――離してくださいっ!」
「「「乃梨子さぁ~ん!!」」
「乃梨子ー、先に行ってるぞー。」
男に囲まれ、ヒステリックになっている乃梨子を、薄情にもその葉に残し、一人だけ校舎の中に入って行く沙希なのであった…。
(これくらいは許せよなァー、乃梨子?)