昨日、私の心を奪ったのは彼でした。
ゾワッと、全身に鳥肌が立つ。
もう限界だ。
手を振りほどこうとしても、思った以上に強く掴まれていて、抵抗すらできなかった。
もう無理だと、諦めかけたその時――…
『お前ら、何やってんだよ。』
『『『あ…?』』』
背後から、低音の、威圧感のある声が、響いた。
男たちの動きも止まる。
振り返ると、そこに立っていたのは、学ランを着た男子高生。
『寄って集って、女連れ込もうなんてやり方が汚ねぇんだよ!』
『何だと、ゴルァ!!』
「っ……―」
一斉に、男子高生に殴りかかる男たち。
駄目だ。
1人と4人じゃ、勝ち目なんて――