日常化した座敷わらし
爺「…そんな婆さんがたった一つだけ約束を破った。」
『…』
爺「手紙を5年後に見ようって約束を。
3年前、パンに付けるジャムをイチゴかブルーベリーかで言い争い、別居した」
『そんなしょうもないことで別居したのか!!』
爺「ワシも婆さんも頑固じゃったからのー。絶対イチゴの方が旨いのにっ…。」
『しかもお爺ちゃんがイチゴ派かい!!てか、よく年寄りが洋食でそんな熱くなれるね!?』
爺「んでぇ、別居してから1年でぽっくりよ。人間の命ってのは…呆気ないもんだよぉ。
…そんで、明日がその約束の手紙交換の日じゃ。」
『え…』
爺「…ワシは出来ん約束はせんからな。おみゃぁさんも一緒に海に手紙掘り行ってくるかぁ?」
『…うん!!』
爺「ほれじゃ、決まりじゃ。…この話は二人の秘密ぇ。」
『うん、約束ね。』
《約束ね…》