日常化した座敷わらし




爺「…………真流…」



『っお爺ちゃん!!』




祖父が掠れた小さな声で、真流の名前を言った



それと同時に真流の手が衿から離れる





母「お義父さん!!早く、先生を…」

父「母さん。」


父は母に首を振った 。





爺「…暴力的な、孫じゃ、死にそうだった、わい…」



『元々死にかけてた癖に…』



真流は嫌味を言いながらも微笑む祖父に嫌味で返した


だが、真流も安堵した微笑みを浮かべている



そして真流は瓶を手に取った


『…待ち合わせ時間、とっくに過ぎてるよ。お爺ちゃん…』




それを見せると祖父は目を見開いた



爺「真流…、それ…どうやって…」




『約束、だからね』



真流はしてやったり顔で笑った




それと逆に、祖父の目からは大量に雫がこぼれ落ちる



『只でさえ骨みたいな身体してるのに、そんなに水分放出したら干からびるよ』



爺「…へへっ、言ってくれるわい…」



祖父も楽しそうの笑顔を浮かべる





そして、二通の紙を祖父に渡した



祖父は上手く動かせないのか、震える手でゆっくりと手紙を開ける



――カサ


静かな病室に紙の音が響く




少し茶色く変色した紙を愛おしそうに指でなぞりながら読むと、幸せそうな笑みを浮かべた




爺「…ありがとう」





祖父は、そう笑顔で告げると



手紙をしっかりと握り締めて




この世を後にした……







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