日常化した座敷わらし





その日の翌日、葬式が行われた



祖父と祖母の手紙は誰も見ていない。



祖母と同じ墓で、祖父も安らかに眠っている。



真流はあの日の事で、計3時間程説教をくらった。

祖父に怒鳴ったせいで、病院の看護師さんにも怒られた。

看護師さんなのに恐ろしかった。白衣の天使どころか悪魔に見えた。

しかし、何とか誤魔化して丸め込む事に成功した。

外に出てた事は泥だらけの服で一目瞭然だったが。



そして、慌ただしく時は過ぎ。

計4日の北海道滞在は幕を閉じる。




姉「ほら、真流!!もう行くよ!!」


『ちょ、待ってよー。せっかちなんだからー』


姉「あんたはルーズに支度してんじゃないわよ。先行くよ。」


そう言って姉が出ていき、家には真流一人になった


『もー、いけずー』


真流がぶつくさと文句を言いながらバックに荷物を放り込んでいると、ふと


――ザザーン


『…ぇ?』




『波の音…!!』


真流は急いで、滅多に使わない階段で二階へかけ上がるとベランダに出た



『…わぁ……』


そこからはキラキラと輝く青い海がいっぱいに広がっていた


『二階からだとこんなに近くに見えるんだ…。気づかなかったなー』


真流は海風に髪を揺らされながら海を眺める



座「おい」


すると後ろから聞き慣れた声が聞こえた


『わらし!!』


座「何やってんだよ、置いてかれるぞ」



座敷わらしは「帰るんだろ」と後に付け足した



『んー、もう少し。』


真流は伸びをする


『…お爺ちゃん、お婆ちゃんに会えたかな…』


座「さぁな」


『……お爺ちゃん、ちゃんと幸せに逝けたよね』


――ザザーン


波の静かな音が鼓膜に響く







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