日常化した座敷わらし
馬鹿も風邪をひく
―――ポタッ
一粒の汗が真流の額を流れ、枕を濡らした
『ゴホッゴホッ』
この日真流は珍しく、風邪を患った
母「あら、38度5分もある。今日は学校休みね。」
『う゛―』
母「薬と水、置いておくからちゃんと飲むのよ?」
真流が頷くと、母はドアを静かに閉めるとパタパタと階段を降りて行った
『ゴホッゴホッ…ゴホッ』
座「馬鹿でも風邪をひくんだな。」
『病人にかける第一声がそれかい、ゴホッ』
座「つーか、さっきから煩いんだけど。ゴリラか?」
『ゴリラじゃないし、〈ウホウホ〉なんて言ってないし〈ゴホッゴホッ〉だし。』
座「ぁ、ゴリラは元からだったな。」
『違ぇってんでしょ。なにこいつ!?物凄い腹立つ…ゴホッ』
座「雑菌撒き散らしてんじゃねーよ。俺に悪影響だろ、まさか俺に移す気か。やめろ、学校行け」
『悪魔か』
座「座敷わらしだ」
『知っとるわ!!ゴホッ…てか、座敷わらしも風邪とかひくの?』
座「ひかん。」
『じゃあ何なんだよ!!ひかないなら、移すも悪影響もないでしょ…ゴホッ』
座「目の前で菌振り撒かれたら気分が悪いだろ。」
『移らないんならいーでしょ!!どんだけ自己中!?器ちっさ!!』
座「咳どころか血ヘド吐かせてやろーか?」
『ご、ゴホッ、ごごめんなさぃぃい!!ゴホッゲッホ』
―――――――――
その時柳田家のリビングでは
姉「へー、真流が風邪ねー」
母「暫くひいてなかったわよね、10年ぶり位かしら?」
姉「ってか、何で今風邪?」
母「北海道で疲れちゃったのかしら。だいぶ雨に打たれていたものね…、ほんとあの時何をしていたのかしら」
姉「さぁーねぇ。てか、馬鹿も風邪をひくんだね」
母「真流は馬鹿だけど、人間だし風邪もひくのよ」
姉「全く、真流の癖に風邪を拗らすなんて。私も学校休みたいわー。」
母「ぁ、もうこんな時間。学校遅れるわよ」
真流の扱いは体調が悪くても座敷わらし同様、雑なのだった。