日常化した座敷わらし
座敷わらしが素直になる筈もなく、真流が撃沈したのだった。
――グゥー
『……』
―――ググゥー
座「…」
『わらし。』
―――――グググゥー
座「んだよ」
『お腹へったな』
座「だからなんだよ」
『何か作ってよ』
座「ふざけんな」
『毛簿君にわらしは猫好きって言っちゃうよ』
座「……てめぇ」
『んふ。(勝った)』
座敷わらしはブツブツを恐ろしげな事を呟きながら、台所へと降りて行った
―――――――――――
――――
『おぉ』
数分もすると部屋には食欲をそそらせる匂いのするお粥と林檎が運ばれて来た
『わらしって料理出来たんだねぇ、美味しそう』
座「どんな味になってるかは知らねぇけどな」
座敷わらしは含み笑いをして脅す
『え、』
真流は〈恐ろしいわっ〉と内心突っ込みながらもお粥を口に運んだ
普通に美味しかった
『…てかさ、』
真流はお粥を完食すると、林檎に目を向けた
『なんで丸ごとなの?しかも皮付き』
座「いや、ゴリラは手で握り潰して食べるのかと思って」
『なるほど…っていや、だからゴリラじゃないぃいいい!!』
*実際、ゴリラがどうやって林檎を食べるのか知りません。
―――――――
――
母「ただいまー」
母が帰ってくると、真流は再び熱を計った
――ピピッ
母「あら、36度3分。もう治ったの?すごいわね」
『素晴らしいでしょ』
母「えぇ、ほんと、馬鹿な上に丈夫なんだから。」
『ぇ、それどういう事?』
母は安心した様子で、部屋を出ていった
『ねぇ、わらし』
座「あ?」
『ありがとう』
座「おう。貸し一って事で。」
『君は爽やかにお礼も受けることも出来んのかね』
座「ぁ、一どころじゃないか。十位の貸しが今日出来たな。ちゃんと貸し返せよ。」
『容赦ないな』
こうして、39度近くも熱を出した馬鹿は一日で回復し、忘れていた一週間分の学校の課題におわれるのだった。
『うあ゛―、終わんない!!わらし手伝ってよ!!』
座「おいこら、口動かす暇があったら手を動かせ。」
『鬼ぃいい!!』
座「座敷わらしだ」