日常化した座敷わらし
羞恥に耐え、一人自己嫌悪に陥っていると
後ろで ガダッ と椅子から立つ音がした
パッと振り返ると、今朝の美人女子が私の作り出した空気の中、自己紹介を始めた
『(こんな空気にして、ごめんなさい美人女子さん)』
真流は心の中で合掌をした
美人「夕島 早苗です、よろしく」
―――パチパチ
美人女子は短く簡単に自己紹介をした
『(簡単なのに私と比べるととても素敵な自己紹介に見えたよ…トホホ)』
真流は再度自己嫌悪をすると、深くため息をついた
――その日真流がそれ以降行動することはなかったのだった。
『……明日こそは頑張ろう。』
真流は決意した。
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――翌日
真流は重い気分を引きずりながらも、ちゃんと学校に来ていた
席に着いて暫くすると、昨日の美人女子、夕島早苗が来た
真流はグッと拳を固めると、決心して振り返った
『(勇気を出せ自分!!)…お、はよう!!』
夕島「……ぉはよう」
『私、柳田真流って名前です!!よ、よろしくね!!』
夕島「…、よろしく」
夕島は眉を寄せたものの、返事をした
『今日もちょっと寒いね』
夕島「…そう、だね」
『でも、桜が咲き始めたからもうすぐ暖かい春が来るね』
夕島「…そうだね」
『ぇっと、夕島さんの好きな食べ物って何?』
夕島「…特にない」
『ぁ…、答えずらかったかな、ごめんね!!じゃあ、今までで食べた中で一番美味しかったものとか!!』
夕島「食べられればなんでもいい」
『そっ…、そーだよねぇ!!食べれるものがあるだけで充分だよね!!いや、寧ろ生きてるだけで幸せだよね!!
うんうん!!いや~、イイ事言うねぇ』
夕島「……」
…ど
どうしようこの状態。
あれ?
友達作るのってこんなに難しかったっけ?
女の子と喋るのこんなに大変だったっけ!?
『……あの』
真流は立ち上がり、頭を下げ、手の平を前に出した
『友達になってくれませんか!!』
夕島「……いえ」
夕島はその後に"結構です"と続け、教室を出た
『……………ぇ?』
ふ、…フラれた……
告白とか恋愛でフラれるのは知ってる
でも、友達になるのをフラれるのは
聞いたことがないんだけど。
真流は行き場を失った自分の手を握り締めると、自分の席に戻り
屍と化した。
真流のガラスのハートは粉々に粉砕して空気中に舞ったのだった。
めでたし。めでたし。
女A「ねぇねぇ、」
『……』
女B「おーい、柳田さん?」
『…ぇっ、私!?』
真流は慌てて顔を上げるとそこには二人の女子がいた