君が笑えば。

そのとき結菜をみた。

まるで失望したようにしたあと、少し経って結菜の目から涙がこぼれた。


「…っ」


本当はすぐにでも抱きしめたかった。

本当は大好きだって言いたかった。


でも、言わない。

言っちゃいけない。

俺は結菜の記憶をなくしたんだ。

俺の中から。

そして…
自力で思い出せなかった。


< 101 / 154 >

この作品をシェア

pagetop