君が笑えば。
ズキッと俺の胸は痛む。
好きだ。
だけど、俺はなんで結菜を苦しめることしかできないんだろう…
中西結菜は病室から出ていった―…
きっと二度とこの病室のドアを開けて入ってくることはない―…
俺は窓の方へ視線をうつした。
「なんで、あんなこと言ったの?」
「は?」
木村は俺をまっすぐ見つめていた。
きっと…こいつは気づいてる。
俺の記憶が戻ってることに。
「颯斗…思い出したんでしょう?」
「…思い出して、ない」
俺は嘘をつぶやいた。
「嘘つけ。そんな颯斗は願い下げ。じゃあね‥。」
木村は最後純粋な笑顔を残して来なくなった。
みんな、俺の前からいなくなったんだ。