君が笑えば。
「お前よく頑張るな」
監督が俺に声をかけた。
「いえ…」
「今度の大会、スタメンで出てくれ」
「え!?」
「お前はよく頑張ってる。」
よかった。
これで…これでちゃんと山本との試合に出れる。
「頑張ってね!颯斗くん!」
隣でマネージャーの倉橋がいう。
「倉橋、いつも言うけど“颯斗くん”って呼ぶな。」
「じゃあ聞くけど、なんでだめなの?」
「…」
言える訳がない。
“好きな人が俺をそう呼ぶから”なんて。