君が笑えば。


「いや、颯斗くんって呼ばれると春先くんそうやって呼ぶなっていうんですよ。なんで?って聞くと答えないし…何かあると思うんです。それで…」



「ああー…でも今日さ、颯斗くんって大声で呼んでる人いたよね?」


「はい!あたし誰だか見えなかったんですけど…あのとき、春先くんのフォーム乱れたじゃないですか?だから、その人が春先くんの好きな人だと思うんです」


え?
それってあたしだよね?

あたしは一人固まってその話を聞き続けていた。


「ああー…てか、最近あいつモテるよなー…」


「はい!でも、そこらへんの女には負けませんよ?」


…。

あたしは諦めるんだ。

あたしの記憶は颯斗くんにはないんだよ。

淡い期待なんて抱いちゃいけない。


「倉橋、お前が言うとなんか怖い…」


「え?あっ!颯斗く…」
「結菜!」


大好きなあたしを呼ぶ声がした。



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