君が笑えば。
「えっと―…」
結菜ちゃんと向かい合わせになる俺は緊張して言葉が詰まる。
バイトしててもいつもそうだ。
料金を言うときも
おつりを渡すときも
緊張してしまう。
「…俺は春先颯斗。で、この隠れてるのは河南郁哉。」
とりあえず、自己紹介をつまりながらもする。
「ほら…樹亜…」
そう言って結菜ちゃんは樹亜ちゃんにちゃんと自己紹介をするように言う。
その姿がまるでしっかり者のお姉さんみたいだった。
その姿までもかわいいと思ってしまう。
「…か…海原じゅっ樹亜です…」
「君…男の子苦手でしょ…?」
「………」
否定しない樹亜ちゃん。
「あの…樹亜、男の子に縁がないみたいで…ちょっと…」
「……ふーん」
結菜ちゃんが言った言葉になんだか緊張する。
うまく言葉が出てこない。