君が笑えば。

結菜ちゃんをちらりと見る。

すると少しにこっとして、?を浮かべる。

「あっ、この前はすいませんでした」

結菜ちゃんがいきなり謝る。

「え?」

「いや…その…この前送ってくれるって言ってくれたのに断り続けて結局、違う人と帰って…」

「ううん…」

「…」

「…」

沈黙になる。

話したくてもやっぱり怖い。

あの夢が現実になったら…

もしも現実になったなら…

「…あの人はクラスメートなんです」

「え?」

「今はバスケ部のキャプテンをしていて結構モテる人なんです」

「……そう…なんだ…」

「山本彼方くん…知りませんか?」

「…」

「知らないですよね…すいません…」

「………結菜ちゃんは、結菜は山本彼方って人が好きなの?」
やっと言えた。

キミに一番聞きたかった言葉。

「え!?彼方くんをですか!?いや、好きじゃないですよ?」

「ふ―ん…」

少し気取ってみせた。


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