君が笑えば。

「…かっ、彼方くん、あた、あたし…」

「うん…」

「あた…しね…自惚れてたんだと思う」

「…」

「…郁哉く…んの話、聞いて…あたしは、あたしは颯人くんの…颯人くんの……特…別なんだ…って、でも…でも…」

「…違くないよ」

「え…」

彼方くんがあたしを抱きしめる力が強くなる。

「…中西は、春先颯人の特別だったよ。絶対」

「なんで…」

「特別だから…助けたんだろ…特別だから…思いすぎて忘れちまったんだよ…」

「うっ…ふぇ…うわ…」

「…こらえなくていい、泣きたきゃ泣け。こらえられたって困るだけだから」

あたしは彼方くんの腕の中で必死に泣いた。

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