名無しのラブレター
現代人でもここまで澄んだ文章は書かないだろう
そう思うほど、この手紙に惹かれた
それに、好意を伝えてもらったのだから同じ想いは返せなくても
感謝の意だけは伝えたい
「どした?この娘に惚れたか?」
ニヤニヤしながら友人が俺の肩を抱く
どうでもいいが、いつまで靴箱にいる気なのだろう
さっさと教室に入りたい
そんな俺の願いを壊す友人を諦めさせるため、口を開いた
「悪いけど俺、好きな奴いるから」
「は?!」