名無しのラブレター
「でもさあ、誰が入れたんだろうな」
「うーん」
「つか、倉本。手紙の娘みたいに字ぃ綺麗」
「そうかなあ……」
彼女との出会いは、一冊のノートから始まった
そのノートは彼女の物で、書いてある名前、一枚めくった後に見えてくる文字たちだって、学生が書いたものとは思えないほど綺麗だった
友人に言えばそれは錯覚らしくて、よくよく考えれば恋だったのだと知った
「ミツも気になってるらしいよ」
そういえば……
この手紙の字と彼女の字、同じかもしれない