八一ト
「俺がもし・・・ヒナちゃんが
俺の彼女やったら・・・
そんな弱い男のまねなんかせいへん」
せんじくんのこんな姿見たのは
初めてだった
いつも笑顔で笑ってばかりで
みんなの憧れで友達思いでたくさんの
友達がいるせんじくんが
いまは悲しい顔してて辛そうで
悔しそうな複雑な顔なんて
初めて見た
「悪かった・・・
分かったからヒナを返してくれ」
それでもせんじくんはまだ私を
強く抱きしめてて
「頼む」
せんじくんの腕は緩み
あの顔はなくなってて
暖かな顔の表情に戻ってた
「もう大丈夫やなヒナちゃん」
私はコクりと頷きせんじくんは
私から離れていった
「返したで・・・」
せんじくんはそう言って
図書館から出て行った