sweet's devil
第一章 ◇ キャベツ畑で出会った君は
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「りーの!今日のおやつ何?」
「今日はプチシュークリームだよ〜」
学校に来て早々、私に話しかけてきたのは幼馴染みの文香(ふみか)。
梨乃(りの)っていうのは私のこと。
文香は甘いものが大好きで、私の作ったお菓子のファン一号、って本人が言ってる。
長い黒髪で細身の美人さんで、どれだけお菓子を食べても太らないから羨ましい。
見た目に反してサバサバした所もあるから、私は慣れっこだけど、最初は皆驚いてる。
「今日はシュークリームかぁ。この前のパイも美味しかったけど、今日も美味しそ〜!でも前に食べたガトーショコラも……」
「文ちゃん……一応、受験生になったんだから、他に考えることがあるでしょ!」
そう、私は今年で高校三年生。
まだ三年生になって3ヶ月しか経ってないけど、回りはやっぱりだんだんと受験モードになってる。
きっとこんなに呑気なのは文香くらいだよね。
「いーの、いーの。今の所ウチ、志望校A判定だから」
「むぅ……この秀才めぇ……」
勉強も出来て、スポーツもサラリとこなしてしまう文香に、思わず私は不満気な声を漏らした。
「『むぅ』って……。ちっちゃい梨乃がすると一段と可愛い!!」
そう言って、机越しに文香は私に抱きついてきた。