sweet's devil
「なぁ、聞いてんの?お前」
さっきの褒め言葉撤回。
口悪くない?
普通、初対面の相手にお前って言う!?
内心ムッとしながらも、私は言葉を返した。
「アナタが食べてるので全部よ。
そ・れ・に!
勝手に入って、勝手に人が作ったもの食べて、普通言うことがあるでしょ!?」
「これ、お前が作ったのか?
メチャクチャ美味かった。
クリームがすげぇ甘くてさ」
そう言うと、その人は少しだけ笑った。
傲慢(ゴウマン)そうなその口調とは裏腹に、そう言ったその人はあまり笑ってはいないけど、幸せそうだった。
幸せそうなその人を見てると、私は思わずこう言ってしまった。
「今、シュークリーム作ってるの。
多く作っちゃったからあげる……」
ほだされた訳じゃないからね……。
コクリと頷いて、またビスケットを食べ始めたその人を尻目に、私は焼き上がったシュー生地をオーブンから取り出した。
焦げ目もなくツヤのあるそれはまさに上出来!
ふんわりと膨らんで良い感じ♪
冷やしていたクリームを焼き上がった生地に挟んでいく。
一つ一つ丁寧に、食べてくれる人が幸せになれるように思いを込めて仕上げていく。