分かんない。
出逢い



鳴り響く目覚ましの音。
まだ眠りたい欲を抑え、カーテンを開ける。
部屋に差し込む光は
私の一日の始まりを物語っていた。

「いってくるー」

あくびをしながら学校へと向かう。
今日はいつもより遅い時間だ。
後ろから激しい足音が聞こえる。
何をそんなに急いでいるのだろうか?
私は半分呆れ顔で
その足音の主が過ぎ去るのを
待っていた。
けれど、足音は次期聞こえなくなる。
気付けば今私が通っている所は
1人しか通れないくらいの道だった。
多分後ろで待っているのだろう。

「あー、おっせーよ」

男子と思われる低い声。
その声は少々苛立ちが紛れていた。
私はそれが苛ついたので
振り返って言い返した。

「ちょっと。
私の歩く速さが遅いのは
悪いかもしれないけど、
そんなに慌てるくらいなら
もっと早く家出ればいいだろ!」

男子は更に苛ついたようだった。
互いに怒気の交じる視線を交わし合う。

「ああん?んだと、このブス!」

この様なありきたりな
喧嘩売りをするのは弱者丸出しだ。
奴の負けが目に見えそうだ。

だが私と相手は男女で異なる。
男の力になど勝れるだろうか?

「お?お前柏木だったよな?」

私と睨み合っていた
男子の後ろにやってきた
長身で色白の男子。

一目見て私はドキッとしてしまった。
特別格好いいという訳でもない。

「あ、俺と同じクラスだよな!
確か……川上だっけ?」

2人の男子は
向かい合って話をしている。
私は邪魔なようだ。
遅刻するのも嫌なので、
私は2人をおいて
学校へ進んだ。



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