分かんない。



家に帰り、自分の部屋の
柔らかいベッドに飛び込む。
今日は11時まで家には誰もいないのだ。

気づけば私は涙を流していた。
あれっ、私なんで泣いてるんだろ……?
誰かの事を想って泣くのは初めてだ。
誰もいない家。
思いきり泣くには絶好の時。
私はまだ涙を流しながら玄関へ行き、
鍵とチェーンをつけた。
もしも誰かが帰ってきたら
どんどんと激しい音がするだろうから、
と私は考えた。
それまで思いきり泣くのだ。
泣いて泣いて、次の日には
平静を保っていられるように。
大丈夫。
田所が川上を忘れさせてくれるよね。

だけどそれがいつまでも
押さえられるはずはなく、
私はとうとう杏子にメールを送った。
これまでの事を全て書いた。
批判されてもいい、構わない。
唯誰かの心の中に留めておきたい。

ブーッブーッ……。

しばらくして聞こえたのは、
メールのバイブだった。
杏子かなと思い、急いでメールを開いた。

゙そっか、そんな事があったんだ。
本当に好きだからこそ、
告白して振られて、
空気が気まずくなるのは嫌だよね。
私も嫌だもん。
分からないことないよ。
ていうかこんな悩みを抱えてて
辛かったでしょ?大丈夫^^
私、美佐の事、全力で大好きだよ^^
相談もバンバンしちゃっていいから。
ね?元気だしてとは言わないけど
泣きたい時はトイレにでもこもって
泣いてればいいの。
授業中に泣きたくなったら
保健室にいっちゃえばいいから^^
ね^^゙

本音を言うと批判の返事が来ることを
私は恐れていた。
だけど、杏子は分かってくれた。
とても嬉しかった。
また、涙が溢れてきてしまった。
今度は川上に対する想いの涙ではなくて、
杏子という親友の優しさと偉大さに
感動しての涙だ。

ありがとう。

「う……ひっく………
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ――」



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