分かんない。
初めて幼い子供のように
声をあげて泣いた。
どのくらい泣いていただろうか。
気づけば携帯電話の
音声着信のバイブが鳴り響いていた。
知らない番号からだ。
「はい……ひっ……もしもし……っく」
嗚咽を押さえるのはとても難しい。
「……神埼か?俺、田所」
…………え。
この状態で田所から
電話がいきなり来るとは
思ってもみなかった。
「えっ……ひっく!?
そうだよ、神埼ひっくッ!だよ……。ひっ」
鼓動が急激に加速する。
「………泣いてた……のか?」
「…………ひっ。
な、泣いてなんかひっ、
ないよ………ひっ」
涙を拭きながら、
なんとか嗚咽も止めようとするけれど、
嗚咽が止まってくれる気配などなかった。
「その様子だとやっぱりなんかあったな。
どうした?俺に話せるか?」
話せる訳がない。
話せば彼に対する無礼となる。
「ううん、本当に大丈夫だから。
心配しないで、ありがとう」
気づけばやっと嗚咽は止まっていた。
「そうか、何かあったら言えよ?」
彼に、また涙が
こぼれそうになるのを堪えながら、
またありがとうと言い、
電話を切った。
だけどその瞬間、また私は泣いていた。