分かんない。



゙神埼へ。
神埼は悪くないからな、
そこは心配しないでくれ。
ただどうして田所が
神埼に話しかけまくってるのかが
気になるんだ。
話し相手もいなくなったし。
友達を奪われて嫉妬してる。
勘違いはすんなよ?
これからはこうやって
手紙で会話する事が
多くなるかもしれないな。
田所のせいで。
ーー本題(悩み相談)ーー
俺の好きな人、
話しかけようと思っても
振り向いてくれないんだ。
俺じゃだめなのかな。
どうやったら振り向いてくれるんだろ?
彼氏でもいんのかなー。
川上より゙

とても長い手紙だった。
授業中ではとても書ききれないし、
休み時間は田所と話すから
家に帰って返事を書くことにした。

゙川上へ。
あのね、川上だけに話すけどね、
私と田所、付き合ってるの。
だまっててごめんね…
でも私川上と話したいのに
ずっと田所が話しかけてくるから
そこはちょっと困ってるかな;;
うーん、その好きな人ってのが
明確にわかってないから
正確にはアドバイス出来ないけど、
想いを伝えてみたらどうかな?゙

私が背中を押してあげないと
川上も前に進めないんだ。
だから私は敢えてそう書いた。

十数日後、このクラスは席替えをした。
私と川上は物凄く離れた。
席替えの前に、田所が先生に
私と川上を離してくれと言ったそうだ。
少し寂しかったけれど、
田所が寂しい思いを
紛らわせてくれた。

もうすぐ先生や生徒が触れ合う、
ふれあい合宿という行事が行われる。
残念ながら、男女は勿論離れている。
まだあまり話なれていない女子と
同じ班になって
色々不安もあったけれど、
会える時間はほとんど田所と過ごした。
男女別の班では運が良い事に
田所と同じ班だった。
クラスでも先生の間でも
評判が良いから先生に
気に入られているのだろう。

「そろそろさ、名前で呼ばねえ?」

「えっ、名前?」

「美佐、圭祐って」

「えー……、恥ずかしい」

「いいから。言わねえとお仕置きなぁ」

田所、もとい圭祐は
悪戯っぽく笑った。

「もう……」



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