分かんない。
まだ慣れない靴箱。
まだ慣れない廊下。
まだ慣れない教室。
まだ慣れない生徒。
全てが新鮮だった。
同時に上手くやっていけるか、
心配に思うことも多少あった。
今日は初の授業がある日だ。
中学ではどのような事を
習うのだろうか?
昼休みに、クラスが離れた
一番仲のいい友達の所へ行っていた。
「杏子はこのクラスで
上手くやっていけそう?」
あんこ、とよく読まれがちだけれど
あんね、と読むのだ。
彼女が私の親友である。
「うーん。まだ分かんないかな!
それよりさ、美佐、
中学生なんて大人へと、
一気に成長していくんだから、
そろそろ男勝りは卒業しないと
彼氏出来ないよ〜」
「あはは、分かってる」
「あれ?お前今朝の奴!」
杏子の後ろから
そう声をかけてきたのは
今朝私と睨み合いになった
柏木と呼ばれた男子だった。
どうやら杏子と同じクラスらしい。
ということは
あの川上と呼ばれた男子も
このクラスにいるのだろうか。
辺りを見回すと、
男友達とじゃれ合う
川上の姿があった。