分かんない。
蒸し暑い体育館に、全校生徒が集い、
汗を流しながら、長い長い
校長先生の話を聞いている時。
「ってかまじ校長の話長い〜」
「ほんとだよ、だりぃよな!
でもこれが終わったら夏休みだぜ」
「そうだねぇ」
私と圭祐はずっと話をしていた。
時々坂口先生がこちらへ来て、
私たちは注意をされたけれど
坂口先生が去ってから
また話を続けている様子だった。
ふと視線を感じたので
何気に後ろを振り向く。
「……っ?」
私を真剣見つめる川上の姿があった。
思わず少し声を出してしまった。
川上はその様子に気づいて、
混乱した様子で目を逸らし、下を向いた。
どうかしたのだろうか?
長い校長先生の話も終わり、
1クラスずつ教室へ返されていた時。
私は川上のところに
四つん這いで近寄った。
「さっき何か言いたそうにしてたけど、
何かあるの?」
川上は先程とは違う、
冷静な表情をしていた。
「いや、別に何もないよ。
ほら、田所のとこにいてやんねえと
田所の奴、嫉妬すっぞ」
そんな突き放される様な
言葉をもらいながら
私は圭祐の所へ戻った。
教室へ戻ると、いよいよどきどきの
通知表がやって来る。
高成績ならいいけれど、
低成績なら突き返したいくらいだ。
神埼!と私を呼ぶ声がして、
鼓動を早まらせながらも、
前へ行き、通知表を受け取った。
見たくない、けれども、見たい。
圭祐は通知表を見て喜んでいた。
「美佐ー。成績どうだった?」
やけに嬉しそうな声で
私に質問をしてくる。
私はまだ、恐怖で開ける勇気がない。
「まだ開けてない、怖くて……」
苦笑しながら言うけれど、
圭祐は私から通知表を奪った。
「あっ、ちょっと!」
代わりに返ってきたのは、
圭祐の通知表だった。
それなら少しはいいかな……。
と思い、私も圭祐も
互いの通知表を開いた。
「……」
圭祐が目を見開いて驚いている。
「……はっ…、オール5!!??」
驚きすぎて圭祐は大声を張り上げた。
それって……、私の成績なの?
「……えっ!?」
同時にクラスメイトも押し寄せる。
案の定本当にオール5だった。