分かんない。
帰りの車内では、
前席と後席が見えるように
あの黒いカーテンが
両サイドにまとめられていて、
4人で今日は楽しかったね、など、
今日の思い出を語り合った。
川上の兄さんは、
私の家の前まで送ってくれた。
「今日はありがとうございました」
「こちらこそ。
楽しかったよ、美佐ちゃん。
またこんな機会があったら
宜しくね」
「はい、宜しくお願いします。
じゃあ、またね、サナさん、川上」
バイバイ、じゃあね、と
3人と私は互いに手を振った。
1人川上の兄さんはそれをやめ、
車を発進させた。
私はその車が見えなくなるまで
手を振り続けた。
やがてそれが見えなくなると、
私はようやく家の中に入った。
「ただいまー」
「おかえりぃ!川上くんとなんかあった訳?どうだった?」
母は若くして私を産んだせいか
本当にこういう話には
目を輝かせて聞いてくる。
私はナンパされて怖かったと
それだけ言って部屋へ入った。
ベッドに飛び込んで
今日の事を思い出す。
「今日の川上、かっこよかったな……」
気付けばそんな事を呟いていた。
時間の経過というものは
本当に早いもので、
9時に帰ってきたけれど、
もう10時になっていた。
風呂を済ませ、寝巻きに着替えてから
私は川上にメールを送った。
゙川上、今日は誘ってくれてありがと^^
迷惑もかけちゃったけど
あの時助けてくれた川上、
物凄くかっこよかったよ。
お兄さんにもありがとうって
言っておいて^^それじゃあね゙
「………はあ」
気付けばため息が漏れていた。
川上……本当に格好よかった。
あの時の川上に凄くどきどきしながら
私はベッドで目を閉じた。
今、頭の中は川上で沢山だ。
頭の中を何度もあの時の川上が過る。
いけない、いけない。
私には圭祐がいるのだから
あのくらいで心を揺らしては圭祐に悪い。
寝返りを打つと、そこには携帯があって
メールが来ている事を知らせるランプが
何度か点滅していた。
多分川上からだろう。
そう思って今度こそ目をつぶって
深い眠りに落ちた。