分かんない。
家に帰ってベッドに倒れ込み、
携帯を開く。いつものように
圭祐からはメールが着ていた。
゙愚痴を聞くのは嫌か!?
それなら悪かった!ごめん!
お前に捨てられたくないよ…
ほんと、ほんとごめん。
でもさ、あのくらいで
振らなくてもいいだろ。
なあ、頼む。本当に゙
私はそのメールを無視した。
自分でも何をしたか
よく分からないからだ。
自分の気持ちを押し付けるように
顔をベッドに押し付けていた。
……
「美佐ぁ〜?」
何処からか、母の声がした。
「美佐ぁ、帰ってたの?おかえり。
ご飯だからおいで〜」
母の声は優しかった。
まるで私の気持ちを
知っているかのようだった。
そうだ。私さっき……。
ようやく母の声が、ドアの向こうから
聞こえていた事に気がついた。
私はいつの間にか眠っていたらしい。
「はぁーい……」
けれど、ノックが聞こえた。
「どうぞ……」
ドアから入ってきたのは、
おぼんを持った母だった。
「夕食、持ってきたよ」
おぼんの上にはご飯が乗っていた。
「母さん……」
「あんた私と血が繋がってるのよ?
考える事とか、する事とか、
好きな物とか、選ぶ物とか、
昔からほとんど一緒だったよね。
だから、ね。
私にはあんたに何があったか、
あんたが今どんな気分とか
大体見当がついてるわよ」
母は優しい笑みを浮かべて、
部屋の中に入ってきた。
そして机の上に夕食を置いた。
「私と美佐は分身みたいなもの。
ほとんど同じ思考してるから
何かあったら相談してごらん。
今じゃなくても構わないから。
ね?」
それだけ言うと、
母は私が泣くまでに部屋を出た。
「うっ……グスッ……」
どうしてだろう。
母のあのタイミングや言葉遣いが
やけに嬉しい。
もしかして、母が今の私のように
悩んでいた時、同じように誰かが
こうして暖かいご飯を
運んでくれたのだろうか。