分かんない。
家に帰る時間が迫る頃。
私は、どうしても欲しかった、
彼の温もりを求めた。
「……ハグ……したい」
「……」
彼は一瞬驚いた顔をした。
けれど。
「……ふふっ、しょうがねえな」
彼は、自分の腕の中に
私を閉じ込めてくれた。
温かくて、心地よい場所だった。
これからここは
私の場所になるんだと思うと、
何かが胸の奥でうなってしまう。
嬉しくて、幸せで。
これ以上にないくらい幸せだった。
そして、3年も熱い関係が続いたある日。
2人同時に驚く事を発表し合った。
「……な、なんだよ。先に言えよ」
「……務こそ」
「そうだな……コホン。ふぅ……。
…………俺と………結婚してほしい」
「わっ、素敵な指輪!綺麗!
ありがとう、務。
貴方と結婚するわ、私!」
「やった!まじ嬉しい!
振られたらどうしようかと
悩んでたんだよー」
「ふふふっ、私が振るわけないじゃん」
「んだなぁ、そうだなぁー。
あ、それで……お前は?」
「ふふふっ、嬉しい事だよ!」
「えー、なんだよー。
教えてくれよー。じれったいぞー」
「えへへ……。
私達の愛の結晶が出来ちゃった」
「………まじ?」
「まじ」
「………早っ!あ、でもその前にさ
ご両親に挨拶に行かねえとさ
結婚出来ねえじゃん」
「あー、そうだね。デキ婚とか嫌だし、
まだ赤ちゃんの事はふせてから話そ!
私のお父さんとお母さん本当優しいし、
私のしたい事させてくれるから
きっと務の事だって許してくれるわ!」
「おう、そうだな!」
……………
「お父さんお母さん!
務と結婚したいの、
ねえいいでしょ?」
「お願いします!」
「あら!学生の頃好きだった人ね!」
「お母さん知ってたの?」
「勿論よ。
貴女務君の話しかしないんだもの。
彼が引っ越した後もぐだぐだと…」
「あーっ、いいよもうそれはぁ!」
「うん。母さんもお前も
そう言うなら安心だな。
務君。うちの娘を頼むよ」
「やったね、務!」
「ああ、嬉しいよ!
ありがとうございます!!」