分かんない。
自分の気持ち
「俺たちの子供は
女の子かぁ?男の子かぁ?
お前ならどうする?
え、私?私はねぇ
女の子ならミサにしたいな!
そうかぁ、俺は男の子なら
蓮がいいなあ。
いいねぇ、どっちに似るかなぁ?
……なんて2人で子供の事
考えてたわ。それからねぇ。
私が浮かれてるのは」
母は照れるように笑った。
「って事は、その子供が私で、
私の父さんが母さんの……」
「そう。今でも愛してるわよ〜」
母の頬は、
少し赤くなっているようだった。
いいなぁ、羨ましい。
私もいつかそんな日が来るだろうか。
「これが私の過去。いい、美佐?
私の人生は奇跡が多かったけど、
皆が皆そうとは限らないの。
もしかしたら貴女も奇跡に恵まれずに、
苦い思い出を植え付けられる事も
あるかもしれない。
その時は、どうか忘れないで。
分身のような、
自分を分かってくれる母がいるって。
自分で言うのもなんだけど、
そう思った方が気が楽でしょ?
それに、貴女の意思は
ちゃんと優先してあげたいしね。
もし、貴女の意思を
私が分かってあげられなくても
私は絶対貴女の味方よ。何があっても。
どんな過ちを犯しても、
自分の事のように最後まで付き合うわ。
叱るべき時は叱っちゃうけど
貴女の為を思って
正しい道に導こうとしてるだけだからね」
母の言葉は、私を強く勇気づけた。
こんなに私を庇おうとしてくれる人が
こんなに近くに存在していたなんて。
思えばそうだった。
母は確かに私の意思を優先してくれる。
勿論叱る時もあったけれど
それはちゃんと意味のある事だったと、
今なら痛いほど分かる。
「自分の気持ち、
川上君に伝えてみるといいわ。
勿論今すぐになんて言わない。
ちゃんと、距離を縮めてからでも
全然大丈夫だし、
新しい恋をしたいと思うのなら
そっちにかけたって全然いいわ。
誰にも貴女を止める権利はない。
貴女の人生だもの。ね?」
「かあ……さん……」
母の優しすぎる言葉に
とうとう私は我慢ならず、
涙を溢してしまった。
母は、そんな私の頭を
ただ撫でていてくれた。