分かんない。
その日は川上の言った通り、
今学期の目標をたてた。
緊急連絡網も作った。
私と川上は代議員なので、
私達の所に、男女集まって
電話番号を教え合っていた。
それもようやく落ち着いて、
掃除時間もおわり、
帰りの用意を終わらせると
また私と川上は話をしていた。
「そういえば俺ら
メアドとか交換してないけど
連絡先交換しねぇ?」
「あ、そうだなぁ。いいよ」
放課後となったこの教室で、
数人の男子が、体操服や
ユニホームに着替え始めていた。
川上も着替え始めていた。
「あれ?川上、部活入ったんだ」
「おう、野球部だ。
神埼は何か部活するのか?」
「うーん。考え中なんだ」
「そうか………。
マネージャーとか出来るなら
やってもらいてぇな」
「えっ、なんで?」
私は笑いを含んだ声で問いかけた。
「どうしてって……
部活がねえならそのくらい
してみたらっていう
唯の提案だけど?」
「そうなんだ。
じゃあしたいものも何もなくて
野球部のマネージャーが出来るなら
やってみようかな」
「ああ、そうするといい」
川上はユニホームに着替え終わると
じゃ、メールで!といって
部活へ行ってしまった。
「ただいま〜」
「おかえり、美佐。
部活、何するか決めた?」
帰ってきた途端
母は私にそう聞いた。
特にこれといったものもないし
本当に野球部のマネージャーをしても
いいかもしれない。
「うーん。
今の所、野球部のマネージャーかな」
そう答えると母の顔色が変わった。
にやにやしていて気持ちが悪い。
「さては美佐……、
好きな人でもできたの?」
突然の母の言葉に、
私の頭は一瞬、混乱した。
「えっ?なんでそうなるのさ?
別に私は好きな人なんかいねえよ」
母はつまらなさそうな顔をした。
「あら〜、残念。
美佐、もう中学生なんだし
私をときめかせてよおー。
恋ばな聞きたいなぁ」
なんて母は呑気に言っているけれど。
私はもしかしたら
既に恋をしているのかもしれない。
川上克哉に。