分かんない。



「あっはは。
お前もバカじゃなかったなぁ。
金で買えないもの、か……。
そんなお前に想われてる男は
幸福者だね。その男になりたい」

一之瀬は負けたように笑う。

「でもさ、俺応援してるよ。
俺をふった分幸せになれよ。
もしその男にふられても
俺の所においで。
いつでも付き合ってあげる」

終始、一之瀬の言葉から
私を好きだという言葉はなかった。
じゃあ……
彼は何が目的なのだろうか。

それからというもの。
いつもと変わりなく
一之瀬と時を過ごしていた。
田所とも川上とも
一切連絡を取れていない。

< 71 / 94 >

この作品をシェア

pagetop