分かんない。
遅く進む時間



夏休みになった。
田所や川上からは
一切メールは来なかった。
それどころか、
私が不安になって
川上にメールを送ったら
エラーメッセージが返ってきた。
どうして?
私は川上に嫌われたのだろうか。
電話をしようと思っても、
この電話番号は、
現在使われておりません……。

「……はぁ」

だけど、一之瀬とは
相変わらず会って遊んでいた。
私の家で遊んだり。
一之瀬の家で遊んだり。
一之瀬の家は、本当に
普通の家に見えるけれど
部屋の所々に、高級な家具や
アイテムなどが見られた。
それから何度か、
一之瀬からの告白を
受けたりしていたけれど、
私はその度に断っていた。

それは夏休みの間だけでも
かなり悪化していって、
高級というか素敵な洋服や、
とても良い香りのする香水などか
家に送りつけられていた。
メッセージには決まって、
俺の好意だから返すな。
と書かれている。
いざとなった時が怖いから、
年のため、全部一纏めにして
一度も使わずに保管している。

その事を本人に話すと、
本人は爆笑していた。

深く考えすぎ。
そんなすぐ買えるもの、
ちゃっちゃと使っちゃえばいいのに。
使わないとほら。
お前の家……
俺の贈り物でいっぱいになるぞ。

脅しのような、
脅しでないような。

一之瀬の家には、相変わらず
大金が舞い込んでくるそうで、
その時に少しずつ
私に贈り物をしているそうだ。
一度一之瀬が遊びに来た時、
母は興奮して
お1つ貰っていいかしら、
と言っていた。
一之瀬は気前よく
いいですよ!と言っていた。
もし彼が、私を嫁にくれ、
と言ったら
母は間違いなく許す事だろう。



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