分かんない。
それから数ヵ月。
夢のような毎日。
川上に会いたいという気持ちは
段々と薄れてくる。
一之瀬は変わらず
私にアプローチを続ける。
しつこいなと思いつつも
それに快感を覚えてくる。
多分……錯覚だ。
今は冬休み。
一之瀬も塾があるらしく、
今日は珍しく暇だ。
暇で暇で死にそうだ。
なんとなく杏子と
メールを交わしていると……。
゙ぁたしこの前さ!
好きな人の名前を検索したの!
そしたらね、その人ぉ〜…
歌がプロ並みに上手いし
てれびにも1回出た人だったの!
美佐もちょっとやってみな?
ぉもしろぃかもょー笑゙
へぇー……そうなんだ。
私も少し興味がわいて、
面白半分で、川上と田所と
一之瀬を調べてみた。
田所は何もなかった。
川上も何もなかった。
一之瀬の検索結果を見た瞬間
私はこれでもかというほど
目を見開いた。
1つ。
恐ろしきチャット掲示板を記す
闇チャットのようなページだった。
恐怖に怯えつつ、私はページを開く。
背景は黒。
文字は白。
名前は赤。
なんてサイトだ。不気味だ、と。
ブラウザバックしようとした
その時だった。
美佐
絶対にない単語。
人違いであって欲しい。
けれどこのチャットの
あるじは違う。
彼は言う。
美佐が好き。
美佐のためなら何でもする。
金がすべて
美佐に持ってかれてもいいくらいに。
………
嘘だ、そんなわけない。
そう想う私は
下の方を段々見ていった。
そしてそこで。
誠を知った。
「お前早く美佐ちゃん落とせよwww
どうせその女も遊びだろ」
「おう」
え……
「でもお前珍しく
随分しつこいな。
美佐ちゃんの事
がちですきになったのか?
おいお前
閲覧者をがっかりさせんなよ?」
「解ってる……」
「流石いちのせ^^」
………そっか、遊び、なんだ。
騙されなくて良かったと、
心の底から思う。
私はこの男の思惑には乗らない。
確信はないけれど、
疑う理由にならない訳でもない。