分かんない。



少女は眼を覚まさぬまま。
少年は孤独にも少女の傍で嘆く。
その姿から
誠の愛で向き合っていたのだ、
と確認出来る。だが少女は、
ぴくりとも動かぬまま。
意識もせず呼吸もせぬ。
あの時狂人が少女の頸に、
つけたものは毒であった。
狂人は少女の死を待ち侘びる。
逸早く己の物にしてしまいたいのだ。

長き月日の間、

少女は眠る。

脳死し、

未来にも望み無き少女。

少年はひたすらに少女の再生を願う。



「………み…サ……」



< 83 / 94 >

この作品をシェア

pagetop